2014-01-01から1年間の記事一覧

日本の悲劇の根源(3)

日本が「帝国」の周辺であるのか、あるいは準周辺(間接的周辺)であるのか、という問題はなかなか悩ましい。それは日本(文化)の相対的な自立性をどの程度認めるのか、という問題とも関係してくるので、デリケートな問題となってくるからである。 総じて、…

日本の悲劇の根源(2)

日本について考えるのは実は厄介なことである。先にも書いたように外来の文化・文明は二重の構造をとって受容され、本来の一義的な理念や意味が変容されていく。そのような受容は、日本の置かれた地政学的な位置から来ていると考えるしかない。 この日本の地…

日本の悲劇の根源

日本の直面している問題の多くは、日本の構造的な二重性に根拠を持っている。どういうことかと言うと、憲法では「非戦」を唱えつつ、現実では自衛隊というまぎれもない軍隊を保有したり、また中国・韓国に対して謝罪を繰り返しつつ、その裏ではヘイトスピー…

憲法へのクーデターの後に

国家もまた人間と同様に性格を持ち、キャラクターを持ち、過去史を持って存在している。過去の歴史をどう把握して、それを未来の行動にどのように反映するのか、という所にその国家の個性や性格、そして理念は現れる。通常は、憲法とはそのような国家の性格…

日本の学生たちへの不満

以前、韓国で教えた時、ある映画を見せて感想を聞いたことがあった。その時、女子大学院生があまりに感情移入してしまって、泣きながら感想を述べ続けたことがある。もちろん「かわいそう」とか「健気だ」などという紋切り型の感想ではなく、誰それが、人物…

奇妙な風景

今日、日本と北朝鮮とが拉致被害者の再調査で合意したとのニュースがあった。北朝鮮が日本側の要求をのむ形での合意で、それに伴って日本の制裁措置を一部解除し、さらに人道支援や国交正常化の議論の可能性にまで言及したものである。 外交的な利害が北と日…

小保方さん報道について

小保方さんのスタップ細胞をめぐる報道については、初めから何か行きすぎで不快なものを感じていたが、その過熱ぶりによってむしろ現代の「病理」を見せるよい症例だと思うようになってきた。この小保方さん報道は、まさに現代日本の無意識的な「病理」を端…

記憶をし続けること

NHKスペシャルでで、1980年に新宿であったバス放火事件の被害者女性のその後を追った番組「聞いてほしい心の叫びを バス放火事件 被害者の34年」をやっていて、かなりの衝撃を受けた。 この事件自体を知らなかった(あるいは忘れていた)ということも一つ…

春の報せ

と言っても桜の開花のことではない。某文芸誌新人賞からの結果の報せが届いたと言う次第。結果は残念ながら選考には落ちましたというものだった。しばらく落ち込んだものの、まあ最終選考にまで残ったということで自ら慰めることにする。 春のよい報せだった…

新年度開始

今日から新年度。今年は講座代表となり、新入生の指導学生としてロシア人学生、日本人学生の2名が入る。今いる指導学生は、韓国人1名、中国人1名なので、ますます国際的になってきた。去年修了した韓国人の李敬淑さんが、今日から宮城学院女子大学の講師…

ケンブリッジの選んだ死ぬまでに読みたい30冊

ケンブリッジニュースで、死ぬまでに読みたい30冊のリストを上げていた。興味深いのでリンクをはっておく。 http://www.cambridge-news.co.uk/Whats-on-leisure/Books/30-Cambridge-books-to-read-before-you-die-20140306145355.htm ちなみに JG Ballard - …

『明日、ママがいない』

水曜10時からのドラマ『明日、ママがいない』(第8回)を見て、深く情動を動かされた。おそらくドラマを見て、これほど情動を動かされたのは久しぶりのことだ。 来週の第9回が最終回となるので、これまでの様々な登場人物たちのエピソードや葛藤が収束に向か…

未来的な社会としてのオーストラリア

先日、5泊6日の日程でオーストラリア・シドニーを訪れてきた。訪問の模様はいつか写真などを交えて整理したいものだが、とにかく印象的だったのは多文化的・多人種的なシドニーの街のありようだった。オーストラリアが以前の白人中心主義的な路線から多文化…

ソチオリンピック終了

昨日の夜、閉会式が行われて17日間に渡ったソチオリンピックが終了した。今回のオリンピックは、新学期からロシアの留学生が来ることもあって、かなり集中して見た。後半の1週間はオーストラリアへの出張が入ってあまり見られなかった(オーストラリアではあ…

オーストラリア訪問近づく

この2月中旬にオーストラリアに訪問の予定である。3年前の東日本大震災の時に予定していたのが、震災のために行けなくなったもののリベンジという意味合いである。ちょうど2011年3月13日の訪問の予定だったので、当時は悔しい思いをした。震災当日、仙台市内…

第2次大戦の正しい終わらせ方

NHKのラジオ深夜便で元国連大学事務局長の伊勢桃代さんのお話を聞き、たいへんに感銘を受けた。日本語でも格調の高く、志のある言葉を語れる方がいるということ、そのことを知るだけでもどれだけ勇気を与えられることだろう。国連大学で勤務した経験をもとに…

10時間勤務

今日は朝の9時出勤で、10時間くらいぶっ続けで仕事をした。こんな日はめったにないのだが、偶然で3人分の論文審査と全学授業の期末試験とが重なったので、そういうことになった次第。さすがに終わるとへろへろになったけれど、なぜか疲労感よりはやり終えた…

清朝末期化する日本

4,5か月も間が空いてしまった。昨年の後期に入って加速度的に忙しくなってしまったため。だんだん余裕がなくなってきている。 ところで、このところの慰安婦問題や尖閣問題、靖国参拝をめぐる東アジアの軋轢に、とても心寒く、いたたまれない気持ちを抱いて…