春の報せ

 
 と言っても桜の開花のことではない。某文芸誌新人賞からの結果の報せが届いたと言う次第。結果は残念ながら選考には落ちましたというものだった。しばらく落ち込んだものの、まあ最終選考にまで残ったということで自ら慰めることにする。
 
 春のよい報せだったらもちろん良かったのだが、しかし色々な意味で自省できたのでよい経験となった。自分がやりたいこと、やらなければならないと思っていることを、少しなりとも整理できたし、だいたいの方向性は見えてきたと思う。アジアにおける近代文学の発生をメディアと帝国との磁場の中から考えて行くこと、その意味で世界に開かれた同時代性の中で思考しうること、その辺をもう少し地に足を付けて考えて行けば、次のステージに進むことができるように思えてきた。
 
 オリエンタリズムチャップリンカフカ魯迅李光洙、そして中島敦漱石二葉亭四迷などを取り混ぜて、ベンヤミンのスパイスを利かせて、フロイトマルクスの隠し味を入れて、次の料理を作ってみたいものである。かなり豪勢な料理ができるのではないかと思っている。