文学

仙台文学館での対談・川村湊×佐伯一麦「文学は社会をどう描いてきたか」

仙台文学館で企画展「文学と格差社会」関係のイベントとして川村湊と佐伯一麦の対談「文学は社会をどう描いてきたか」が今日あって、出かけてきた。 http://www.sendai-lit.jp/event/exhibit-special/218-2011-12-07-00-52-18.html 企画展は「樋口一葉から中…

保田与重郎「ヱルテルは何故死んだか」

保田与重郎論を書くために、「ヱルテルは何故死んだか」を読む。これが彼の批評的な核心であり、出発点であることを実感する。保田の批評対象は、はじめから「近代」に内在している矛盾であり、近代を内部から崩壊させざるをえないディアレクティック(それ…

白石「村の遺話」 (백석; 「마을의 遺話」)

슬픈 일이었다. 덕항영감과 저척노파는 그렇게도 되고 싶은 누더기와 쥐가, 되지 않고는 못 배길 누더기와 쥐가 좀처럼 되지 않았다. 그것은 영감 노파가 누더기와 쥐보다 한층 높은 인간인 까닭일지도 모르나 까닭인즉 누더기와 쥐가 어떤 인간보다는 적어…

舒婷「在诗歌的十字架上」(詩の十字架の上で)

(どこかで日本語訳も見た覚えがあるのですが、中国語原文を載せておきます。今日はなぜかこの詩を思い出す気分です。) —— 献给我北方的妈妈 我钉在 我的诗歌的十字架上 为了完成一篇寓言 为了服从一个理想 天空、河流与山峦 选择了我,要我承担 我所不能胜…

中島敦

古俗(「盈虚」「牛人」)、「名人伝」、「弟子」とを読了。 古俗の2編は語りもの作家としての中島敦の本領を示したもの。ファンタジー(ホラー)のジャンルに属する。彼はファンタジー作家なのである。南島を舞台とした「南島譚」の語りと本質的に同じ語り…

中島敦

を読み進める。今日は南島譚の諸作品(「夫婦」、「鶏」、「環礁」)。抜群に面白い。ギラ・コシサンという原住民の気の弱い男の話を語った「夫婦」はことにその中でも出色だと感じた。この原住民の語りを語る視線はただものではない。「鶏」でのマルクープ…

明治大津波と「寄生木」

読売新聞に旭川支局長・石原健治の「明治大津波と「寄生木」」が連載されました。 明治大津波を描いた徳富蘆花の『寄生木』から日露戦争の乃木希介将軍、そして司馬遼太郎『坂の上の雲』や三浦綾子の自伝『道ありき』にまで及ぶ、日本近代の一脈の流れを追っ…