トウ福如(A-FU)「青花瓷」

 
 この手の中国らしい抒情的な旋律には弱いです。エンドレスで何度も聞きたくなる曲です。もともとはJAY-CHOU(周杰倫)の曲ですが、台湾の歌手のトウ福如(A-FU)がカバーしたもの。
 
 
 
 題名の「青花瓷」は染付の素焼きの花瓶のこと。花瓶を見て君を想うというところですが、なかなか歌詞は伝統的(漢詩的)な世界を歌っています。日本語訳は下のよう。
 
「素焼きに描き出された青い模様、筆が色濃くやがて薄く
花瓶に描かれた牡丹は初めて化粧をした時の君のよう
ゆっくりと白檀が窓をすりぬけ僕ははっとする
画仙紙に ここまで筆を走らせ途中で手を止める
 
上薬で美人画を染め余韻をそっと心にしまう
そしてにっこり笑った君はこれから咲こうとするつぼみのよう
美しい君はするりと飛び去り 僕の手の届かないところへ行ってしまった
 
天青色は霧雨を待ち 僕は君を待っている
かまどの煙がゆるやかに立ちのぼり 川の向こう遙か彼方へと流れる
花瓶の底に漢隷書を記し前王朝の瓢逸をまねる
そして僕は 君に出会うための伏線を記す
 
天青色は霧雨を待ち 僕は君を待っている
やがて昇った月の色に染まり 結末はぼやけた
伝世の染付の花瓶のような独りよがりの美
君の目が笑みを含んでいる
 
白地に青模様の錦鯉が碗の底に生き生きと踊る
明朝体の落款を書き写す時君のことを気にかけた
焼き付けられた君の千年の秘密を
きわめて繊細に まるで床に落ちた刺繍針のように
 
御簾の外の芭蕉はにわか雨を呼び門環は緑青に染まる
そして僕はあの江南の街を通り過ぎ君を呼び寄せた
墨が飛び散る山水画の中 墨色の彼方に隠れた君」