選挙雑感

 
 昼間、書きものの間に選挙に行ってきた。投票所の脇の黒板に投票者数が時間ごとに書いてあったが、午後3時現在で28パーセントとかその位の低調なものだった。少し意外だったが、後でテレビのニュースを見た所、この低調さは全国どこも一緒だったようである。
 
 この低投票率はある意味で救われる現象であると思う。まともな判断力を持っている大人なら、改憲したがっているような自民党にも、かと言って民主党にも、その他の第三極にも入れたくないと考えるのは当然だと思えるからである。約40パーセントの棄権者はしたがって、積極的な棄権というケースがかなり多かったものと読める。このことはまだしも救われる思いである。
 
 言い換えればこのことは、健全な批判票が行くべきところを失ってしまったという状況を表している。前回の総選挙で批判票として民主党が受け皿となったような批判票が、今回は行く先を決められず多くの票が棄権という選択をしたということになる。
 
 反自民勢力は、この批判票を受け止めうる勢力を作れなかったことで、強い反省をしなければならない。民主党が批判勢力としての実体を失って政権交代の時の精神がうやむやになろうとしている時期に、少なくてもその時期に民主党を批判し反原発を掲げたグループが旗揚げしていたならばもっとこの選挙は違った構図となっていたはずである。
 
 先にも書いたがわりかし個人的には今回の選挙結果に楽観的であるのは、そのような「空白」を自覚させ、「空白」を埋めさせるようにこの選挙が働くという希望を持っていることのためである。右にシフトした自民党に対して、もう少し左にシフトした勢力が統一戦線を組んでその「空白」を埋めなければならない。次の選挙にはそれが現実の事態となるように期待したいと思っている。