チェルノブイリ、その後

 
 NHK教育テレビで継続的にチェルノブイリのその後の様子を特集していて、今日その2回目を見た。チェルノブイリは1986年4月の事故だったので、今年で26年経っている。チェルノブイリの現状を知ることは、福島そして東北の今後を見ることにつながるはずである。
 
 もっとも衝撃的なのは、内部被ばくの問題と、それによる健康被害が26年経っても減るどころかますます増加していることである。汚染地帯は日本で想像するよりも除染も徹底し、食品の検査も徹底的にやっているようだったが、それでも低線量の被ばくによると思われる健康被害が顕著に増加している。この低線量による健康被害は、科学的な証明が行われない(行われえない)ために、国際機関は認定していないのだが、心臓疾患、内臓消化器疾患、骨格系疾患、そして白内障など、ほとんどすべての疾病が急激に増加しているのが見られる。事故後に生まれた若い世代でも健康被害は顕著で、血圧異常、心臓疾患、集中力が続かない、などの症状がほとんどの生徒に見られていると言う。試験勉強などの集中力を要する勉強に耐えられないので、ウクライナ政府は8年生までの試験を廃止し、授業時間を短縮したということである。
 
 このようなチェルノブイリのその後が恐ろしいのは、日本政府が低線量の被ばくに対して認めておらず、チェルノブイリの再現がこの東北地方でも起きうるからである。食品による内部被ばく、低線量による健康被害は、福島だけでなく東日本のどこにでも現れうる事態であり、そのような健康被害が実際に起きてからでは遅いからである。
 
 本当は事態はすでに手遅れということもありうる。このようなチェルノブイリのその後を知ることは、東北で住むことの不透明性を思わせ、戦慄させる恐ろしさがあるのである。娘を東京に出したことは、ほんの少しだけれど救いではある。