ヘッセ「愛することができる人は幸せだ」から

 「世界と人生を愛すること、苦しいときにも愛すること、太陽のあらゆる光線を感謝の思いで受け取ること、そして苦しみの中でも微笑むことを忘れないこと、──あらゆる真正の文学のこの教えは、決して時代遅れになることはなく、今日では、これまでのいつの時代にもまして必要不可欠なものであり、感謝しなくてはならないものである。」
 
 「この世を見通し、それを解明し、それを軽蔑することは、偉大な思想家たちの仕事であろう。けれど私にとって大切なのは、この世を愛しうること、それを軽蔑しないこと、この世と自分を憎まないこと、この世と自分と万物を愛と感嘆と畏敬の念をもって眺めうることである。」
 
 実は最近、気苦労が何かと多い。身に余る荷物を背負った感じとでも言おうか。それで、感情的な起伏が激しくなって、ちょっとしたことで感激もすれば涙もこぼす。先人の名言が時には救いとなることもあるのである。