震災日記35

 
 娘の合格者発表を見に夜行バスで東京へ行って、アパート探しをしたり、仙台に帰ってすぐに大学院の2次試験の監督があったり、娘の生活用品を揃えにショッピングしたりと、ここの所休む暇もなかった。3月いっぱい娘が東京に立つまでこの忙しさは続きそうである。
 
 ところで、今回の受験はとても興味深かった。娘の通う高校は仙台の受験校だが、それでも東大などの名門校への合格者はそれほど多いほうではなかった。例えば東大への合格者は例年浪人を入れて10人前後くらいといった所である。しかし今回の受験はなぜか現役合格率が高くて、娘の友人たちも次々に合格していって驚いたほどであった。東大の文系を受けた学生8名中なんと5人が合格した。
 
 高校の先生の言うのには、(僭越ながら)うちの娘がクラスを初めとして高校全体のレベルをアップさせる役割をした(!)ということだが、個人的に考えるにこれは震災の余波によるものと思われる。
 
 今年の震災直後の新入生にも感じられたが、普段の学生たちよりも勉強に対する意識が高くて勉学や学問を通して社会的な貢献をしたいという意識が感じられたが、それが少なくても被災地の高校生には共通して勉学の動機として強く作用したものだろう。
 
 受験に関しても動機が高い学生はすぐに成績に反映する。その意味で被災地の今年の学生たちは優秀な学生たちが多く輩出されるものと期待される。実際に今年の東北大の学生に占める宮城・福島・岩手の3県の合格者の割合は多かったし、他の大学でもそうだろう。
 
 例えばうちの娘が外交官志望なのをはじめ、友人たちもかなり具体的に自分の将来の進路を考えているらしい。そのことを含めて今年の震災第一世代は日本の社会を変えていく原動力となるのではないかととても期待している。特に被災地の東北から多くの人材が輩出されるだろうことを確信している。若い東北の震災世代よ、ファイティング!