キム・ソヨン『韓国映画最高の10景』

　これも2010年に出されたキム・ソヨンの新刊。韓国映画を10の観点とテーマから読み解いた評論集。映画史的な観点からも興味深い本です。目次は以下の通り。
　
1景　境界
　境界の景観
　『境界』――韓国映画の新たな景観
2景　近代の原風景
　『青春の十字路』――現存する最古の映画
３景　微妙な感興
　『半島の春』――朝鮮映画の驚異的な発見
４景　近親相姦
　近親相姦――「下女」から「オールドボーイ」・あるいは近代化と世界化
５景　イ・マニ　ムード
　「黒い髪」――剰余と浪費、周辺の倫理
　イ・マニ　ムードとムード効果
６景　トラウマの地形
　「グエムル」――ポスト冷戦の地政学
　「最後の証人」――戦争と女性、破局のファンタジー
　「母なる証明」――社会的万華鏡、心理的原風景
７景　100番目の景観
　「千年鶴」――韓国映画界の治癒の瞬間
８景　ホン・サンスが発見した景観
　「浜辺の女」――映画的面白さの新たな境地
　「江原道の力」――見慣れないあるいはいまや見慣れた日常
９景　キム・ギドクの家と時間
　「うつせみ」――マイノリティの存在論
　「絶対の愛」――整形社会、愛の時間
10景　セクシャリティの境界
　「烈女門」――烈女に対する修正主義叙事
　「自由夫人」――新たな女性主体の誕生
　恍惚に対する韓国の提示――韓国映画のファム・ファタール
　
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