震災日記27

 今日は3度目のボランティアに行って来た。大学院生の4人と一緒。
 
 場所は以前と同じ宮城県亘理町荒浜。ほぼ1ヶ月ぶりに同じ場所に行ったことになるが、1ヶ月で復旧が進んだかと言えば思ったより進んでいない印象。

 緊急の自衛隊部隊は見えなくなり、重機も入ってがれき撤去の作業は少しずつ進められているけれど、まだまだ津波の惨状はそのまま残っていて痛々しい。改めて見ても胸がつぶれる。ことに荒浜の海岸に面した鳥の海地区は全然復旧が進んでいない印象を受けた。
 
 向かった先は少し内陸なので、1ヶ月で電気も復旧し、ライフラインは整ったということだった。20人くらいのボランティアも来ていて、野外の墓の整理をしていた。寺で敷地が広大なのである。
 
 われわれはそちらのボランティアとは別に屋内での片付け作業に当たった。水に浸かった家具や細々したもの、書類や本などを片付けて倉庫に移す作業。ふすまや戸なども全部はずして倉庫に移す。
 
 昼食をはさんで、午後は床板をはがして下に溜まった泥をかきだす予定だったが、何しろ床板がしっかりと打ちつけられていて外すのが不可能だと分かる。釘を一つ一つ取っていって、取れた板を引っこ抜くのだが、しっかりはまっていて抜けないのである。 
 そんなわけで予定していた泥かきはできないで、釘だけを取って今日は終了。何となく消化不良のような、すっきりしない感じ。
 
 2度目と言うこともあって、院生たちは飼い犬のまめすけ君と仲良くなっていっしょに遊んでいた。天気も良く、のどかなボランティアと言ったところ。復旧は長く続く作業なのだから、それでもいいとしよう。というよりゆっくりのんびりやった方がむしろ健全なのではないかと感じた。あまり悲壮になってかかるよりも、わんちゃんと遊びながらご家族と親しくなってやる方がずっと健全なのである。
 
 ご家族とは昼食中、作業中いろいろとお話したが、津波での被害額はおよそ2000万円になるとのこと。浸水だけだから国や県からの義捐金もわずかだし、家財保険に入っていたのが幸いとの事だった。
 
 一軒の浸水被害でそれだけの被害であることを考えれば、空恐ろしい天文学的な被害があの一瞬の災害で発生したことになる。すさまじい話である。こんな時に政争に明け暮れている場合ではないはず。
 
 ともあれ、院生のきびきびした作業に感銘を受けた。院生の皆さん、ご苦労様でした!